MA/整音のあれこれ

以前お仕事でナレーション(ボイスオーバー)に携わらせていただく機会がありました。

今まで編集や映像で画を作るという作業はやってきたものの「音」に関しての知識が乏しいと実感いたしまして、この度「整音」に関しての勉強を始めました。

勉強を通して得た知識のアウトプットとして記事に残していきたいと思います!

映像用語のまとめはこちらの記事で紹介しておりますので、是非、併せてご参照下さい。

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音の大きさを示す単位

dB(デシベル)音の強さを表す対数。基準値を0dBとし、基準値に対して大きいか小さいかを表す単位。
dBu/dBv(ディービーユー)業務用音響機器で使われる電圧の単位。0dBu=0.775V
dBV(ディービーブイ)民生機器で使われる電圧の単位。0dBV=1V
vが小文字だと違う意味になるので要注意。
dBFS(ディービーエフエス)デジタル信号の大きさ。最大値は0dBFS
dB SPL(ディービーエスピーエル)音の圧力をdB(デシベル)で表す単位。
20μPa=0dB SPL(人が聞き取れる最小可聴音圧)
dB(A)(A特性)聴覚特性を加味した音圧を表す単位。

オーディオフォーマット

音制作においては、加工を前提としているため、リニアPCMが最適。
リニアPCM・・・アナログ信号をデジタルに変換する基本的な手法。サンプリング音源をそのままデータに記録するもの。

非圧縮WAV,BWF,AIFFリニアPCMで得たデータを記録するため容量が大きくなる。
BWFはタイムコード等のメタデータをWAVファイルに含める事ができる業務用の形式。(ラジオ、TV等)
非可逆圧縮MP3,MP4,AAC一般的に使われている形式。データ情報を圧縮するため、容量は小さくなるが音も劣化する。
可逆圧縮FLAC,ALAC元データと同一の音質を再生できる。(可逆性)
データ容量は非圧縮とあまり変わらない。
オーケストラなど高音質な再生に使われる。
フォーマットの主な種類

リニアPCMでソフトの互換性を考えると、WAV一択といったところでしょうか。

サンプリング周波数(サンプリングレート)と量子化ビット数(ビットレート)について

PCMのスペックを表す単位。

主に使われている最低ラインは「16bit/44.1kHz

アナログ音声を16bit(音量の解像度/216=65,536までの数を表現)で1秒間に44,100回デジタル化(音のフレーム数)を行っているという意味になります。

映像の解像度とフレームに置き換えるとすんなり理解できました(笑)PCMのスペックを上げると高音質になるという事ですね。
逆に、ビット数やサンプリング周波数が小さくなるとノイズが発生します。ノイズは、耳に聞こえる可聴域に降りてきてしまうため、16bit/44.1kHzが最低ラインになります。
人間の可聴域・・・20Hz~20kHz

実際に再生される周波数は、サンプリング周波数の半分が上限になります。
例:44.1kHzの場合、再生されるのは22kHzまでの音

つまり、16bit/44.1kHzは人間の耳で聞こえるスペックの最低ラインという事が分かりました。

映画などの制作現場では「24bit/48kHz」が標準だそうです。youtubeだとそもそも圧縮されるのでそこまで必要か疑問を持ちますが、マスター音源が高品質だと後々使い回しの際にも品質が保たれるので、今後はボイスオーバーのレコーディングは24bit/48kHzで録音しようと思います!
といっても、お持ちのマシンで処理できる程度に抑えなければです。

制作で使われる主なビットレート:16bit,24bit,32bit float
制作で使われる主なサンプリングレート:44.1kHz,48kHz,96kHz,192kHz

Loudress(ラウドネス)

ラウドネス・・・人間の聴覚特性を考慮したコンテンツ全体の音量のこと。

ラウドネスメーターの単位は規格によってLKFS、LUFSで表される。1LKFS=1LUFS=1dB

ラウドネスの主な規格
ITU-R BS.1770、BS.1771:国際規格。単位…LKFS
ARIB TR-B32:日本規格。単位…LKFS

ラウドネスは、各メディアによって規定が異なるそうです。
NETFLIXでは、-27LKFS/-2bBTP(TP:true peak)にする必要があると公式ドキュメントに書かれていました。
https://partnerhelp.netflixstudios.com/hc/en-us/articles/360001794307-Netflix-Sound-Mix-Specifications-Best-Practices-v1-1

youtubeでは、ラウドネスノーマライゼーションという自動的に音量を調整する機能が備わっているため、大きすぎる音は自動的に圧縮されます。逆に、小さい音はそのまま。
youtubeのラウドネスは非公開であるものの、「-14LKFS」が有力説らしいです。

PeremiePro上でのラウドネスレーダーと規格に合わせた書き出し方法↓

マイクについて

ダイナミックマイク:単一指向性。高音域が減衰する特徴がある。頑丈なためライブで使われる。
コンデンサーマイク:ダイナミックマイクと比較して広い音域を収音できる。(ダイアフラムによって違いはある)

マイクの指向性についてはこちらの記事をご参照下さい。

ナレーションを収録する際のポイントについては、こちらの記事をご参照下さい。

整音用のファイル形式

MAさんにデータを受け渡す時は、OMFやAAFファイルで書き出します。

OMF/AAFファイル:映像編集ソフトで施した編集情報をDAWなど別のソフトで扱える事ができるファイル形式。OMFは最大2GB。AAFは無制限。

PremiereProでOMF/AAFファイルを書き出す方法

ファイル → 書き出し → OMFかAAFを選ぶ

以下、注意点です↓

  1. ミュートにしているレイヤーも書き出されてしまうため、ミュートのレイヤーは削除してから書き出す。
  2. モノラル音声をステレオ化している場合は、モノラルに戻して書き出す。
  3. 尺に余裕を設けるために「予備フレーム」を「フレームレート×5秒」程度設ける
    例:30fpsの場合、30×5秒=150秒

一人で映像編集と整音する場合は、PremiereProとAuditionが連携されているので、書き出しは必要ないと感じますが、DAWでミキシングをしたい時には、OMFファイルに書き出すと効率的でした。

PremiereProでOMF書き出し→DAWのCakewalkで読み込みを行ったところちゃんとオーディオトラックが読み込めていました!Cakewalkで読み込んだら文字化けしてしまったので、トラックに名前を付ける際は、英語が良いかと思います。

CakewalkはSONARの開発を引き継いだ無料のDAWです。Windowsのみで動きますが無料でSONARが使えるなんて夢のような時代ですので是非使ってみてください!

Compressor(コンプレッサー)

コンプレッサーとリミッターは、どちらもダイナミクス(音量の変化の幅)を調整するエフェクト。
ピークを調整して、全体的に平均的な音量にしてくれるため、聞きやすくなる。

Thresh(スレッショルド):しきい値。境界線。
Ratio(レシオ):スレッショルドの値を超えた音の圧縮割合を指定する。例)4→1/4圧縮
Attack(アタック):コンプレッサーがかかる反応速度の設定。
Release(リリース):圧力を抜く速度の設定。

キャプチャはCakewalkのCompressorです。こちらのタイプは、スレッショルドの代わりに入力レベルで調整をするエフェクトです。

Premiere Pro標準エフェクト「ダイナミック」

Premiere Pro標準のダイナミックエフェクトでは、コンプレッサー、ゲート、エクスパンダー、リミッターがひとつのエフェクトで制御できます。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。

EQ(イコライザー)

周波数を調整するためのプロセッサ。人間の可聴域が20Hz~20kHzであることから、
X軸→左から20Hz、右は20kHzで表示されている。(周波数)
Y軸→音量(単位:dB)
(こちらのキャプチャは、CakewalkのEQです。)

声の周波数は、このように分類分けされます↓

低音80Hz以下
中低音200Hz~600Hz
中域600Hz~3kHz
中高域3kHz~10kHz
高域10kHz以上

EQでは、不要な帯域のカット、特定の帯域の強調ができます。

整音に役立つリンク

すごくまとめられている記事がありましたので、リンクを貼らせていただきます!
是非是非、整音作業のお供にご参照下さい!

Adobe PremierePro&Auditionを使った整音:
https://vook.vc/n/1080

Cakewalkに標準装備のイコライザやコンプレッサについて:
https://www.ongen-opt.com/entry/2018/04/24/14000

こちらは、私の過去記事抜粋です↓

吹かれの除去について(PremierePro&Audition)↓

Cakewalkでのフェード・クロスフェードのやり方↓

iZotope Ozone 9 Elementsを使ったマスタリング↓

(2023年8月追記)Clarity Vx
Clarity Vxは、AIによるノイズ除去のプラグインでかなり優秀です。
こちらのプラグインを数か月使用していますが、ノイズ除去はこのプラグインひとつで事足りるようになりました。難しい設定も必要なく、直感的に操作できるため、幅広い方にオススメです。
もちろん、Premiere Proからも操作できます(※1)。

Clarity Vxのサイトはこちら:https://wavesjapan.jp/plugins/clarity-vx

※1:Premiere Proでオーディオプラグインを利用する為には、VSTファイルの読み込みが必要になります。こちらの記事で、環境設定の方法を説明しておりますので、ご参照ください。

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