【Premiere Pro】音声のラウドネスを均すコンプレッサー「ダイナミック」エフェクトの使い方

長尺対談音声の整音にて、下記のような3つの課題を一度に解決したい!というケースにあたりました。
ピンマイクへの入り込みは避けようがないので、収音の段階である程度ラウドネスを下げるか…試行錯誤の繰り返しです…

↓今回、一括でクリアしたかった問題はこちら↓

①2つの音声をMIXさせた時、残響音(リバーブ)のように聞こえてしまう。
 →原因は、別の話者のピンマイクへの入り込みでした。対談者に距離があったため、ズレが生じているのではないかと考察しています。

②話者毎に収音のラウドネスにバラつきがあるため全体的に均したい。

③ボルテージが高まると音声が大きくなるためピークを超えないように制御したい。

今までこのような処理は、
・Wavesの「Clarity Vx」でノイズ除去+入り込み音声を除去
 Waves/Clarity Vx:https://wavesjapan.jp/plugins/clarity-vx
・Wavesの「Vocal Rider」でコンプ処理
 Waves/Vocal Rider:https://wavesjapan.jp/plugins/vocal-rider
を行っていました。

短い尺であれば上記プラグインで綺麗に決まるのですが、尺が長いと思ったように処理がされません。(Clarity Vxは重くなり、良好な結果が返ってきません。場合によってはプロジェクトがダウンする時もありました。)

そこで、Premiere Proに標準装備されているコンプレッサーで動作も軽く一括処理できる「ダイナミック」エフェクトを使っていきたいと思います。

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結論

本題に入る前に結論から申し上げると、課題②と③はクリアできるのですが、課題①については解決はできません。
入り込みの音声が大きく、メイン音声との差が小さい場合、除去は難しいです。
編集で、話者1が話している場合は話者2のクリップをミュートor削除するなど、編集作業が必要になってきます。クロスの場面(相槌や被り)が多くある場合は非常に手間がかかる作業になります・・・。
※MIX時にリバーブ除去を適用しても違和感は払拭できず、掛けすぎると音声劣化が起こるため手作業の方が音的には綺麗かと感じます。手間が…手間がとってもかかるのですが…泣

対談動画の編集を受ける際は、整音に思わぬ作業工数がかかる可能性があるため、想定しておくか、クライアントとどの程度まで目指すかを事前に確認しておいた方が良いかもしれません。

「ダイナミック」エフェクト

では早速!本題のダイナミックエフェクトです。

ダイナミックには、AutoGate、コンプレッサー、エクスパンダー、リミッターの4種類が内包されており、ダイナミックエフェクトだけで音量の均一化、ピーク制御、ノイズ除去(に似たようなこと)が出来ます。
それぞれの役割はこちら↓

AutoGate設定したしきい値未満のノイズを削除
コンプレッサー大きい音と小さい音(ダイナミックレンジ)を縮小する
エクスパンダー設定したしきい値未満の音声を減衰
リミッター設定したしきい値以上の音声を減衰

各パラメータの説明/元ソース/Adobe オーディオエフェクトとトランジション
https://helpx.adobe.com/jp/premiere-pro/using/audio-effects-transitions.html

実際に使用する機能は「コンプレッサー」「エクスパンダー」「リミッター」の3つになります。
※AutoGateは無音にするエフェクトなため、不自然な仕上がりになってしまいます。

コンプレッサー

①しきい値(スレッショルド)の設定

収音時のレベルに合わせて「しきい値」を設定します。設定したしきい値を超える音声は圧縮対象となります。
音声クリップを再生しながら、だいたいの収音レベルを確認してしきい値を入れています。

②比率(レシオ)の設定

設定したしきい値を超える音声をどの比率で圧縮するかの設定を行います。
色々なチュートリアルを拝見すると、だいたいの方が「」にしておりました。

比率は1~8まで選択することができ、数字が大きいほど圧縮率が高くなります。
比率によってどのような圧縮になるのか分かりやすいサイトがありましたのでこちらをご参照ください↓

YAMAHA/PAお役立ち情報 其の6 コンプレッサーの基礎知識

③アタックとリリース

アタックとリリースはデフォルト設定のままでOKです。
アタックとリリースがどのような作用をもたらすのか、YAMAHAさんの記事がすっごく分かりやすいので先ほどと同じリンクですが貼らせていただきます。

YAMAHA/PAお役立ち情報 其の6 コンプレッサーの基礎知識
参考箇所:アタックタイム/リリースタイム

④補正

補正のdBを上げて、音声全体を任意の大きさに上げます。(全体を上げるためノイズも一緒に大きくなります)
音声クリップを再生しながら、どのくらいの大きさが最適かモニタリングしながら調整しています。

エクスパンダー

①しきい値

しきい値未満の音声を圧縮して減衰させます。しきい値はデフォルトの-20dBでOKです。
しきい値を上げるとメイン音声まで減衰してしまいますのでご注意ください。
このエクスパンダーで、入り込んだ音声を圧縮させることが出来ます。(入り込み音声のレベルによっては圧縮対象になりません)

②比率

しきい値未満の音声を圧縮する比率を設定します。
コンプレッサーの時と同様に、比率が高いと「ブツ!」と不自然な無音が発生するため緩やかな圧縮が望ましいです。
圧縮率は「2」までの値が自然を保つと感じます。

入り込み音声を小さくしたいと欲を出すとメイン音声に多大なる影響を与えるためほどほどが良しでした。。。

AutoGateとエクスパンダーは似ているのですが、AutoGate(ゲート)が「無音にする」に対して、エクスパンダーは「圧縮率を調整できる」という点があります。
カットを入れた時の「ブツッ」音がでないような自然な仕上がりを目指したいときは、エクスパンダーがベストです。
※勿論、エクスパンダーで圧縮率を8にするとゲートと同じ効果を発します。

リミッター

最大レベルを制限できます。
しきい値に入れた数値よりも大きくなることを抑えるため、ピークになることも無くなります。

最後に

音って難しい…チュートリアル記事を書いて下さっている方々や、色々相談に乗ってくれた友人に感謝です!

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